露地野菜(トマト)

緑肥作物を活用した露地トマト栽培(提供:自然農法国際研究開発センター)

有機栽培で露地野菜を作る際、おさえておくべき項目がいくつかあります。ここではトマトを例にポイントを説明します。

事前の準備
市販の有機培土を使うのも良いですが、できれば自家製の培土を使いたいものです。播種床に使う培土は、ぼかし肥を5%程度混合した腐葉土主体とし、2月下旬までに用意しておきます。また、播種時期が3月上旬とまだ寒く、最適な発芽温度を確保できないので、温床を準備しておきます。

トマトを植える畑は輪作体系を考慮し、ナス科野菜が連続しないようにします。また、土の排水性を良くするために、暗渠ないし明渠を配置しておきます。

病害虫対策
露地栽培では、害虫被害はあまり問題になりません。ただし、ときおりテントウムシダマシやアブラムシ、ハモグリバエなどを見かけます。虫害を減らすためには、長期間開花するマリーゴールドやシソ科植物などを混植するなどして訪花昆虫の定着を促し、生きものの豊かな畑にしておきましょう。クモなど天敵となる生きものの隠れ場所となる有機物(枯れ草)を畝面や通路に敷設するのも効果的です。

雨よけハウスでの栽培には、防虫ネットを被覆する隔離栽培と、ネットを使用せずに虫の出入りが自由な開放系栽培があります。

隔離栽培するときは、天敵による害虫の抑制作用がはたらかないので、常にハウス内の害虫の発生に気をつけ、必要に応じて生物農薬などの対策が必要です。このとき、天敵の放飼時期を見極めるための黄色粘着トラップでモニタリングを行うと、オンシツコナジラミなどの重要害虫も低密度で抑えられます。

一方、開放系栽培はハウスまわりの植生を意識し、生きものが棲息する環境を多様にしておくことが重要です。

夏以降にはオオタバコガなどの鱗翅目害虫も見られるようになります。1mm目合いの防虫ネットの展張や造網性クモの利用などで、被害が軽減できます。

病害を減らすには、トマトの生育を軟弱にしないように、鶏糞堆肥など養分の高い有機質資材を控えめにします。あわせて、株間や条間をやや広げるなど、通気性を良くする栽植法を取り入れたいものです。

研修生とともに、主要な害虫とこれらを抑制する天敵の種類を確認しながら、日々の作業に取り組んでください。

文/浜崎 修司