露地多品目野菜栽培

作物を選ぶ原則
有機農業を志す人の多くが、露地の多品目野菜を希望します。年間を通じて詰め合わせ野菜の直売(提携)ができることが理由でしょう。栽培面でも、前述したように土づくりや病害虫対策から多品目が効果的です。多品目栽培は、畑と季節に合った作物種、品種の選択を基本にします。

図4は輪作の基本を踏まえた多品目栽培例を示しています。この例では1つの畑に2~3品目が入っていますが、原則同じ仲間の野菜を組み合わせています。たとえばナス科野菜であればナスとトマト、アブラナ科野菜であればダイコンとハクサイといった具合です。

輪作する際の重要なポイントは、連作障害を防ぐキーとなる作物や地力を高める緑肥作物をはさみ込むことです。イネ科作物(ライムギ、エンバクなど)やネギ属などのキー野菜が入ることで、根圏の微生物相が変化し、特定の病原菌の密度を高めません。また、太陽熱処理を挟み込むことで、畝上の抑草効果も狙っています。とくに、ニンジンの播種前にはぜひ取り入れたいものです。

実際の栽培にはもっと細かく分けて作付けする場合もあり、労力を勘案して決めることになります。就農予定地が小面積のときは、2~3畝ごとに作目を変えて栽培する場合もあります。この時も上記の原則は踏まえましょう。

また、各種資材の活用により栽培を安定させる対策も必要です。たとえば、防寒や防虫、夏の強光を遮るなどのためのトンネル栽培や、雨を嫌うトマトの雨よけハウスなどが、よく行われます。

研修中に一緒に多くの事例を見て、無理のない計画づくりを指導しましょう。

文/浜崎 修司