就農後の支援

新規就農者は経営者
就農とは、同時に経営者(個人事業主)となることです。就農時に準備した農地、住宅、機械・施設、資金、販路などの資源をもとに、それらの質的な向上を図るとともに、地域の一員として、住民同士のつながりを大切にすることが大切です。また、加入する年金もサラリーマンとは異なります。

新規就農者への支援
新規就農者が栽培技術を身につけることは当然ですが、地域の一員として生活していくうえで、本人が意識するしないにかかわらず、地域の農家をはじめさまざまな住民や公的機関から支援を受けています。とくに、新規就農者仲間や出荷農家グループは、栽培技術に関わる相談、販路の開拓や精神的な支えになるなど重要な役割を果たしています。

なかでも、研修受入先などのコーディネーターは、新規就農者の就農直後から経営の確立に向けてさまざまな相談に応じ、地域住民との橋渡し役を担っています。

【コーディネーター】
コーディネーターは、指導者、理解者、相談者、支援者、協力者など多くの側面を持つ存在で、市町村・都道府県の担い手担当者、研修受入先、地域の理解者などが、地域の状況に応じて担っている。

経営を安定し、地域農業の担い手に
新規就農者は、まず、技術の向上に心がけることが大切です。品質の良い(消費者が求める)農産物が栽培できなければ、せっかく開拓した販路も継続できません。技術を向上させるには、研修受入先をはじめ、品質の良い農産物を生産している方々のグループに入り、消費者が求めている農産物に触れることも必要です。

そのうえで、栽培や販売経験を蓄積しながら「軌道に乗るまでのタイムラグにどう対処するのか」が課題となります。先輩の事例を参考にしながら、栽培作物ごとの収支、労働時間、それに基づく作付計画の検討を重ね、計画と実際とのずれを少なくしていきましょう。天候の急変による減収など、予定通りにいかないことも多々あります。場合によっては、公的支援(資金)の利用も検討しましょう。

研修受入先には、「新規就農者の経営が確立し、地域に定着している状況を示すこと」が求められています。そして、新規就農者には、一日も早く経営を確立し、地域の担い手となっていただきたいと思います。そのうえで、新たな仲間づくりのために、後輩の新規就農希望者を支援できるコーディネーターの役割を担ってください。

文/藤田 正雄