有機農業をはじめよう/実践事例集

新規就農事例11.独立就農

研修先の選定がその後の就農に影響。

プロフィール

氏 名:佐藤 京一 さん(1964年生まれ。就農11年目)

農園名:佐藤農園

住 所:北海道岩見沢市

主な栽培品目:グリーンアスパラ、トウモロコシ、ズッキーニ

経営面積:1.4ha

労 力:本人、妻

栽培技術の習得

子供に安全な食べ物を食べさせてあげたい、子供と一緒に過ごせる環境を作りたい、子供に自然と接する環境を与えてあげたい、この想いが就農を決意したきっかけです。

研修は、慣行農業の農家で行いました。研修先の栽培方法や経験をもとに、化学肥料を有機資材に置き換え、有機農業を目指しました。良い野菜ができず行き詰まったときに、畑と自然(山など)を観察して、それらの違いと共通点を探りながら栽培方法を改善してきました。今も、時期ごとに入手できる有機資材をどのように活用すればよいのか、手探りで行っています。また、野菜のおいしい農家で仕事を手伝いながら、作り方のポイントを教わり自分の畑で試しました。

苦労した点

土づくり、施設の設備などの初期投資に見合った採算がとれ、営農できるところまでが大変でした。時間が足りない、栽培技術が未熟で農産物が上手くできない、せっかく収穫した農産物が売れない、などなど。脱サラで希望をもって新規就農したのに、「どうしてここで農業をしているのか」分からなくなったときもありました。

よかった点

子供のために有機農業を始めた、その目標を夫婦で確認することができ、家族とともに過ごせる時間が十分にあること。有機野菜が食べ放題、農的暮らしを満喫し、大声で叫んでも文句を言う人がいない環境で、人に指図されることなく自分自身で判断しながら仕事ができること。

販 路

顧客へのギフト通信販売。北海道有機農業協同組合、直売所、小売店など。

これから就農される方に一言

自分の知り合いに頼らず販路開拓を目指したため、農産物をお金に換えることがとても大変でした。しかし、子供と過ごす時間を大切にして農作業を組み立てました。家族目線での農業を通して、少しずつですが消費者に喜んでもらえる農産物が提供できるようになりました。脱サラで有機農業をはじめ、サラリーマン時代よりは経済的な大変さはありますが、充実した日々を過ごしています。親が好きなことを行っている姿を子供に見せるのは、きっと子育てにとって良い影響があるだろうと信じています。さらに、そのような思いで育った野菜を皆様に食べていただき、暮らせることは子供と自分にとって良いことがあると思います。