新規就農事例3.流通組織からの参入
マーケットの知識と経験を栽培に活かす
徳弘英郎さん(1970年生まれ)・徳弘京子さん
住所:北海道 家族・労働力:夫婦・子ども3人、農繁期に臨時で数名雇用
就農までの経緯
神奈川県・山口県出身。就農前は有機農産物流通組織に勤務。2001年就農。
現在の経営
主な栽培品目:ジャガイモ、タマネギ、カボチャ、ズッキーニ、トウモロコシなど
経営面積:約2ha(畑地200a、ハウス1棟)
求められる有機野菜を栽培
農薬に頼らない野菜や自然食品を全国販売する流通組織におよそ3年間勤務しました。就農後、自分の作った有機野菜をどうやって消費者に買って貰えるかを考える際に、流通組織で学んだことが役立ちました。農業を続けるなかで、食べてくださる方に思いをかけることの大切さを感じています。
有機栽培の知識・技術は、埼玉県小川町の「霜里農場」で半年、中富良野町の有機農家で2シーズン実習。勉強したとはいえ、独立して就農しても分からないことだらけ。分かっていないというこが分からないなど、知っていれば10分で行ける道のりを1時間かけて歩くような苦労は沢山ありました。
心強かった農業委員さんのバックアップ
就農では、農地・住居・地域の方々への紹介など、地域の農業委員さんに大変お世話になりました。この農業委員さんは有機・無農薬栽培を実践するグループのメンバーでもあり、行政との仲介など親身なバックアップをいただき、就農の話もとてもスムーズに進みました。
現在、地元の有機・無農薬栽培グループの一員に加えていただき、ここを通して野菜を販売しています。また個人の消費者への直接販売では、親戚、知人などに手紙を出すなど、身近なお付き合いから少しずつ販路を広げていきました。
就農、それは企業。覚悟も必要です
今、満足している点は、100%自分が向き合える農業という仕事に出会えたこと。そして独立以来、農業を続けられ、自分の野菜がおいしく食卓にのぼること。3人の子どもが元気に育ってくれていることです。
これから有機農業をはじめる方々は、農的な暮らしをしたいのか、農業収入で生活をしたいのか、まずはその区別をしっかりした方が良いと思います。農業収入で生計をたてることは小規模であろうとも「起業」です。「とりあえず」的な消極的な考えは禁物です。