有機農業をはじめよう/実践事例集

新規就農事例5.法人就農

切磋琢磨し、収穫・成功の喜びを分かち合う

プロフィール

渡邉健太郎さん(1980年生まれ)

組織名:盛田アグリカルチャーリサーチセンター(MoARC)

担当:生産部門

就農までの経緯

埼玉県出身。鯉淵学園農業栄養専門学校で農業を学ぶうちに有機農業に興味を持ち、卒業と同時に入社。現在、生産部門のリーダーとして新入社員への栽培指導も担う。

MoARCの経営

主な栽培品目:ベビーリーフ、トマト、ニンジン、ジャガイモ、カブ、二十日大根、インゲンなど60品目程度

経営面積:約9ha(畑地5.4ha、ハウス110棟)

従業員:正社員20名、パート49名

実績のある法人へ。加工品生産も魅力

有機農業への興味の一番の理由は味。実際に食べてみて、おいしさを追求するなら有機だと思いました。農業法人へ就職したのは、学校卒業だけでは経営が厳しいと思ったからです。

私が候補に挙げた法人の中で無農薬の取り組みを行っていたのはMoARCだけで、加工品の生産を行っている点も魅力で入社を決めました。規模の大きな河川敷の草を使った堆肥づくり「伝統草農法」が特徴です。在学中に大型特殊免許を取得したものの、実際の機械操作は試行錯誤の連続で施設を痛めてしまうこともありました。

困難も社員全員で乗り越えるチームワーク

スーパーでの対面販売などで、消費者の方々から感想をいただく機会があり、「おいしい!」という言葉が一番の励みになっています。有機農業は虫・病気・雑草との闘いが多く、予防のための観察や換気、水管理などの苦労が絶えません。あるとき虫の被害に見舞われ、既定の出荷量を確保するために、社員総出で選別・調整したこともありました。こうした点は法人ならではの重圧ですが、全員で困難を乗り越えるのも魅力と感じています。

百業の精神

社員のほとんどが農業未経験者で、全員が新規就農者。入社時から社長に「経営者意識を持て!」と言われてきました。「百姓」と呼ばれる農家は、百業を行う仕事であり、全ての社員が百業を分担し連携していくことで、一人では実現できないことを進める大きな力となります。

法人就職の魅力は、異業種からの多彩な人材がいること。励まし合い切磋琢磨できること。皆で収穫・成功の喜びが分かち合えることでしょうか。

有機農法・技術の裾野は大変広く、そのすべてを追ってもキリがありません。まずは自分の考えや理念に合う技術を探し、その教えを忠実に守り、柱を作っていくのが良いと思います。