作付計画

作付作物を選ぶ
営農プランの第一歩は作付計画です。露地栽培かハウス栽培かなどの計画づくりとともに、気をつけたいのは適地適作と輪作です。適地適作は畑の肥沃土や日当たり、排水性などと作物の相性を考えた栽培で、作物種や品種の適切な選択が健全な生育を保障します。

これは、新規就農者にとって作付計画の基本です。多品目栽培や早晩性を考慮して多品種を作付けすれば、病害虫による被害や天候不順により1~2種類がダメになっても、他の品種や作期で補うことができるからです。

就農後にどんな作目を選ぶのかは、どんな売り方をするかで変わります。栽培した野菜をできただけ直売施設で売る、6~8品をセットにして提携取引する、小売店や生協などと契約取引する、などがあります。

セット販売では、年間数十品目を栽培できる能力と畑をうまく回せる緻密さが必要です。契約取引を中心とするときには、品目をしぼり、一定の規模で栽培することになるでしょう。

また、作目を選ぶ際は、栽培者の性格や好みも関係します。研修期間中に研修生の性格をつかみ、得手とする作目に誘導することが求められます。

土壌条件を見極める
耕し方、堆肥の施し方、畝の高さなどでも、畑との相性について検討が必要です。畝づくりには土質や排水性を考慮しましょう。排水の良い砂地土壌では、畝を作らない場合もあります。一方、粘土質土壌や水田転換畑ではやや高い畝を立て、水の停滞がないように対策するなど、研修生が就農時に入手する農地での計画づくりを念頭において指導しましょう。

なお、排水改善のための暗渠(地下部に設けた排水孔)、明渠(地上に設けた溝)の設置、あるいはイネ科などの緑肥作物を輪作のなかに組み込むなど、土づくりの年次計画に農地改善の諸技術を取り入れることも研修項目に含めてほしいです。この際、地域の有機物資源として何があり、どう使うのか、堆肥化するのかそのまま敷設するのかなど利用法を考えてください。また、適切な処理機械も就農準備中に備えるとよいと思います。

研修中になるべく多くの畑の利用例に触れ、土質や前後作の種類、作目の組み合わせや販売方法なども、研修生とともに考えていきましょう。

文/浜崎 修司(島根県東部農林振興センター雲南事務所)

ガイドブック「有機農業をはじめよう!研修生を受け入れるために」10ページ

土づくりの基本」8-9ページ、「輪作・混作、品種の選び方」11ページも参照ください。