輪作・混作、品種の選び方

作付けの基本は輪作
有機農業における作物の作付けは、輪作を基本とします。これは、できるだけ異なる科の作物を輪番で作る方法で、作付計画の際に最も優先させたい耕種法です。

同じ種類の作目を連作すると、しだいにその植物の根域を好む病原菌が多くなり、防除の困難な病害虫の発生につながります。養分吸収の偏りも生じて、生育不良を起こします。多種多様な微生物が棲息する有機栽培の土壌内では、輪作を行うことで、こうした連作障害が起こりにくくなります。土づくりための緑肥作物やセンチュウ対策のための対抗植物を輪番に入れることもあります。この輪作の基本は、50種類程度の少量栽培の場合も、4~5種類の中量栽培の場合も、変わりません。

多様な生きものを活かす混作
混作とは一つの圃場のなかに2種類以上の作物を作付ける方法で、病害虫対策や収量の安定のために導入します。植え併せによる相性の良い作物をコンパニオンプランツ、虫害の少なくなるものを忌避作物と呼びます。

混作の主な目的は、①多様な根圏微生物が病原菌を抑制し、②土着天敵を呼び寄せることです。また、③大豆畑の畝間にムギ類などを播いて雑草を抑制させるリビングマルチという考え方もあります。混作作物の選び方では、①異なる科の作物、②浅根性作物と深根性作物、③天敵類の棲みかとなるバンカープランツを組み合わせる、などに配慮しましょう。

近年、混作による共生微生物「エンドファイト」のはたらきが注目されています。この菌が作物根部に定着することで、土壌から作物体内へ、または他の植物体から作物体内へ、窒素やリン酸などの供給が行われることが分かってきました。エンドファイトの感染により根こぶ病などの病害抵抗性が高まる効果も、報告されています。ただし、この菌を感染させるには肥沃土壌より貧栄養土壌のほうが良く、養分を高めすぎない土づくりがポイントです。

品種の選び方
有機栽培で使う品種は、地域に残る在来種やその土地で採種した固定種を優先させます。就農当初の経営安定のためには、良い形質や病害耐性などを備えたF1種など優秀な市販品種の利用もよいでしょう。

直売などで販売する際は、早生、中生、晩生種を続けて栽培すれば長期間出荷できます。実際には売れ筋品目を多めに作付けることになるので、就農後に想定する販路に応じた作物を基本に、最適な輪作体系を見つけ出していきましょう。

文/浜崎 修司

ガイドブック「有機農業をはじめよう!研修生を受け入れるために」11ページ

作付計画」10ページ、「病害虫対策」12ページも参照ください。